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●2005年04月19日(火)
  
 ノエリアが四日間の合宿から帰還した。
 なんだかやけに丸い顔に疲労をにじませて門口に立った。
 
 疲れきっているみたいだし、夜中の12:00近かったので
 かいつまんだ話だけでせきたててベッドに行かせた。
 
 がらがらの声は風邪のためだ。
 シェラネバダの山登りになるなり、目が回って気分が悪くなったそうだ。
 あの山は確か富士山より高いのではなかつたかな(いい加減を言ってはいけないけれど万年雪の山なのだ)ジュニアオリンピックに出るような生え抜きの選手達なのに嘔吐する子も出たという。ノエリも入れて訓練中に三人が発熱。
 
 ヨーロッパで第二位の標高で、酸素が希薄で呼吸が困難になるらしい。それはまるで 首をしめられて水に投げ込まれたみたいに苦しいプールだったそうだ。
 
 水泳だけではなく、鉄のスパイクのようにここの環境を利用する世界中の選手たちがトレーニングに集まっていたと娘は語る。
 
 フォーミュラーワンの有名な誰それがあらゆる運動をしていたという。確かカルロスなんとか。
 砲丸投げの選手も空気の希薄な場所での訓練のために来ていたと言うし、スポーツ界のあらゆる人々の訓練を目の当たりにして衝撃をお土産に持ち帰ってきた。
 
 もう一つの衝撃もあったらしい。
 
 先のオリンピックでは北島康介選手に肉薄してもう少しで金メダルに輝きそうになったドイツの若干15歳の選手と一緒だったということだ。
 
 この世界第二位の水泳の選手は、年はうちの娘より一つ上だが、身長は204センチという巨漢だ。
 
 その彼が、ノエリの隣のレーンで怪獣のようにすさまじいバタフライで泳いでいて、背泳で泳いでいた娘のところにまで巨大な腕は納まりきれずに伸び、娘の顔面をそのすさまじいバタフライで張り倒したのだそうだ。
 
 ええーーーーっ!!
 
 聞くにも恐ろしい。
 娘は失神しそうになったということだ。世界第二位の少年、あ!!ごめん!!ごめんねーホントのポーズで謝ってくれたけれど、娘は極彩色の小鳥に囲まれたまま。
 
 気丈な仲間のマリーナは
 なんでもっと強くやらなかったのよ、え?頭がなくなるようにさ!!と怒鳴ったそう。
 (この言い回しはスペイン語独特。もう少しで頭までふっとばすところじゃないの!!の激しい逆説の言い方)
 
 ノエリいわく
 「あの人達見ちゃったからもう駄目。オリンピックであんな怪獣みたいな人達と並んだら私、死んじゃう。こうやって思い出しただけでも怖くて嫌になるもん」
 
 合図のホイッスルが鳴った途端にプールの向こうに泳ぎ着いてるのだそう。
 うちの娘は並ぶと彼らの腰にしか全身が届かなかったらしい。
 女子選手でも200センチがいたそう。
 
 真っ白な痩身に恐ろしいまでの筋肉が膨れ上がっていて、全員頭の毛は剃っていてツルツル。なんだかこの世の人達とは思えない凄さだったと言う。
 
 ママ、ホセマ(娘のチームのヒーロー)が190センチもあるのにドイツの人達と並ぶと小人にみえちゃうんだから!!
 チームの監督はなぜかいつも私の事見てにこにこしてた。
 
 うんうん、話は尽きなかったけれど、とにかくお休み。
 
 ため息しか出ない私でした。
 
 しかし...巨漢のバタフライ訓練中の腕って、聞くだに恐ろしいですねぇ...
 おお、こんな小さな女の子の顔にぃ....ひどいわぁ
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