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2002年06月のセビリア発信・つれづれ草
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●2002年06月27日(木)

筋トレ−筋肉トレーニング

 私という人間は、こう振りかえってみると非常に幸運に恵まれている。
何かを欲して模索している時にとてもタイムリーにその専門家に出会ったりするのだ。そこからまた次の一歩か10歩くらい踏み出すことができる。
 昔、まだ20才そこそこの頃にこのセリフを言った時に私の唯一の舞踊の友だった人は、それは何かを求めている私の情熱が磁石のようにそういう人々を強く引き寄せるのだ、と答えた。これももしかしたら一理あるのかも知れない。多分両方なのだろうと今は解釈している。

... それにしても、だ。
 下の娘を夏休みの間、新体操に通わせることにしたのは既にお話した。毎日3時間の訓練で、競技会が迫ると土曜日もトレーニングがある。ものすごい練習量だ。母親の見学は堅く禁止だが、始めの日からずっと私は例外にしてくれている。

訓練の様をまざまざと見て、感じるところが多い。
こうなると誰が通っているのかわからない。

草深い遠い村なので子供を置いて後でまた迎えに行く、なんていうのはとんでもないので、もう、一緒に訓練に出ている。
おそろしくきつい。
不謹慎にもあまりの事に笑いがこみ上げる事もしばしばだ。

やめておいた方が無難な忍者の車飛びみたいなのだけは、手を出さないようにしている。体の柔軟なのは定評がある私だが、この子達みたいにチューインガムほどじゃないから踊り手として再起不能になるかもしれない事は本当はやりたくて悔し涙だが、自制している。

 私の娘はまだ入りたてだから、あなたはもっと簡単なこれをおやりなさい、と言われても二回目にはなんだかコーチをかき口説いてやってしまっている。
他の子達が別の技に移っても、前のができるまで体育館の端に到るまでおさらいしているので、見上げた根性だとみんなが呆れている。
私はこれを誇りに思うよりも、この娘が羨ましい。
自分は年を食ってて自重しないといけなくて悲しい。
ま、悲しいけどお母さんが新体操の訓練を一緒にするっていうのはあんまり聞かないから良しとしないといけないかも。

と言うわけで、最近、全スペインで優勝しているようなコーチ陣と懇意になりつつある。筋肉についての色々な知識も別の、運動選手の立場から授けられているこの頃の私です。こういう人を探してネット検索なんかしていた矢先なのだ。全くタイムリーだ。
その上、コーチとして参加してくれないか、なんてお誘いをいただいてしまっている。えーー!?私、新体操なんてできないのよ!
構わないんだそうだ。
踊りのプロだからツボは分かっているから選手達にアドバイスしたり、技ができるような指導は的確にできるって言うのだ。
どうせ3時間も一緒にいるんだからやってくれと言われる。
自分も訓練したいから自分がやれるものだけ半分の時間はやらせてもらって、残りの半分はお手伝いしてもいいかな、と考え始めている。
どの道とても勉強になるのだ。
ただしこの3時間が終わるともう、疲れ果てて何もする気になれない。

 最近、体つきが変わってきた。
もともと鍛えてはいるんだけど、このところプログラムを忠実にこなしているせいで効果が現れてきているみたいだ。
体重はそんなに変わらないのにどうしてかな、と思っていたら、
脂肪より筋肉のが重いので、絞り込まれて来て見た目に違ってきても体重は変わらないか、かえって多くなるんだそうだ。
なあるほど....興味深い。
 最近の私の交友関係、この新体操のコーチ陣の他、重量上げでオリンピックに3度出場している男性、美貌でそうとは見えないマラソンの選手、バスケが専門の筋トレの見本みたいな体のアマチュア選手、気がついたらこういう人に毎日囲まれていた。
情熱で呼び寄せちゃったのかしらん、はてな?

●2002年06月26日(水)

神頼み...苦しい時ばかりなり

 
 北部のサラゴサというところは、飛行機でセビージャから直接行けないのだと遅まきながら知った。パルセローナだってマドリーだって一つ飛びなのだから簡単に移動できる気でいたら大間違いだった。
一等列車の切符が手配できたと言われて始めて新幹線AVEがないのだと知る始末。
「一等列車?何時間揺られないといけないの?」
「八時間」
「え!?何だってぇ?」

 ここからが私のまがい物の母親たる所以。
ノエリーーーーイ、もしかしてママが行かないとすごくがっかりしたりする?どうしてもって言うなら絶対に行く。でもどっちでも良かったら堪忍して欲しいな、なんて言ってしまうものねー。
で、本人は大変だから来なくていいと言う。さっぱりした子だから、その言葉の裏でうじうじしないのだ。
ああ、良かったぁ....かなりやましいのだけど八時間はあんまりだ。日本行きの前にこれは辛い。
かくしてサラゴサ行き、簡単にキャンセル。
ずうっと、やましい気持ちのままで....

しかし...スペイン国内でもこういう僻地だとドイツやイギリスより遠いのだ。なんでまた、こんなところで「全スペイン水泳選手権」をやらないといけない?アンダルシアの代表選手達は、専用のバスに乗っても10時間の運行を耐えないといけないのだ。これはひどい!開催地に着いた時はへとへとだ。

 この間のアンダルシア選手権の時は、セビージャから一時間ちょっとのカディスだったが、それでも家を離れての二日目、三日目になるとどんどん体調が崩れて疲労をにじませていた。
これは私が外国公演に行く時と全く同じ現象だ。

今度はそれに加えて10時間のバス旅行がある。しかも試合は全スペインだから猛者ばかりの辛い過酷な戦いになるというのに、始まる前からこの試練ではなんだか本当にかわいそうだ。

 昨日朝早くに娘は発って行った。夕方に電話があったけれどまだ着いていないという声が既に疲労ににじんでいた。
「今、どこ?どんな所からかけてるの?」
「知らない。なんだかお山がいっぱい見える...」
こんな頼りない幼い返事が返って来てしまった。
明日は体調を整えて、木曜が開会式、三日間に亘って試合が行われ、また10時間揺られて帰って来るのだ。

北部バスク地方のテロリスト、エタがサラゴサの中心街に爆弾を仕掛けてからまだいくらも経っていない。応援に行かない薄情な母親だけど、子供を守ってくれさえしたら自分の命は一度ならず、百万回、地獄の業火で焼かれてもいいと思う。

無事に帰って来てくれるまで、本当に生きた心地がしない。
メダルの事なんて悪いけどどうでもいいのだ。あのかわいいおかっぱ頭を胸に抱きしめたい。




●2002年06月25日(火)

プロ・ダンサー、その3/ボーダレス


 スペインは新体操のレベルがとても高い。
この間たずねたカディスの県立体育館では、県がロシアの元オリンピック選手をコーチとして迎えている事実を知った。凄い、ここまで肩入れするか。

10才、12才の子供達でもそのままオリンピック候補なのだと聞かされても不思議でないくらいに完璧だった。
みんな本当に粒ぞろいで土日も休まずに毎日三時間の訓練を積んでいると言う事だった。
日本でも県や村がここまで本気でやっているだろうか...。
 
 やっぱり体育界系のすごさには踊りは勝てない。
週末はカディスにタマーラを連れて来てここに入れよう!
一週間のうち三日はカディス、四日はセビージャという生活に切り替えよう。
孟母三遷どころでない私は、たちまち決心したのだけれど土日は競技会に出る選手だけなのだと言われて惜しくも頓挫。代わりにセビージャ付近で名の通った選手を育てているところを推薦してもらった。

これが行った事もない草深い本当の村なのだ。
こんな遠くまでたとえ1ヶ月だけでも本気で通わせられるだろうかと、とうもろこし畑を車で疾駆しながら考えてしまった。
とりあえず夏休み中に鍛える目的だったのだ。

ここはカデイスと違って入りたての小さい子供でも毎日三時間のトレーニングだというので先週、休みに入るなり見学に連れて行った。見ているのは辛いからその場ですぐにやらせて欲しいと言えば、人の良さそうなプレジデントもコーチ陣も二つ返事なので即、入会。
 本当は母親の見学は規定外なのに踊り手というので私には特赦が出た。
いやぁ、すごかったですね。
3時間の間、お水を飲んで良しの合図が適宜に何回かあるだけでずっと訓練。もう、やっと独り立ちできたばかりの小さい子供達が既に鍛え上げた体で忍者のようなアクロバットを次々とやって行く。壮観でした。
タマーラ、奮闘。
コーチから見込みがあるから10月の全アンダルシアの競技会に出場させて欲しいと申し出があった。
最年少の子供だけのグループ演技なのだそうだ。
びっくり仰天。
買いかぶりでは?と思ったが、まだ二回目で逆上がりして対岸に太鼓橋みたいになってから腹筋だけで起き上がる技を今日はできてしまっている。さすが専門家だから目のつけどころはぴたりと当たるのだな、と感心。

娘は伊賀、甲賀としてもやって行けるようになるかも知れないと私も驚嘆してしまった。この子を誇りに思うかって言われれば、実は羨ましくて羨ましくてそれどころではなかった。
私、これ、やりたいなぁ......全身手裏剣のようになって広い体育館をびゅんびゅん行ってしまうのだ。シェネもいいけれどこれも凄い!!!ダイナミックでカッコいい!
モーリスベジャールも舌を巻くだろう。
ここまで鍛えたらモダンダンスなんてお茶の子さいさいに違いない。
月水金は新体操の訓練で、火木はクラシックバレエを3時間ずつですと!
これじゃあ、ただのダンサーが負けるのも無理はない。舞踊もちゃんとやっているのだ。おまけにこっちの方が時間もびっしりだ。

九月からはコンセルバトリオ(王立プロ舞踊家養成学校)が始まるから競技会の振り付けには参加できないかもねぇ、どうしよう...夕食の席で子供の父親に相談していたら、いつもはおとなしい娘が心外というような一言。

「えーーー!?嫌だ。こっちのが面白いもん!」

.....ちげぇねえ、ここは思案のしどころだ。
困っちゃったなぁ....もう。あれ、捨てるのも惜しいなぁ...

●2002年06月24日(月)

フラメンコのCD/教材用

 
 「これ、作ってやったぜ」朝食のテーブルに新しいジャケットのCDがあちら側からすべって来た。
ツツー!コーヒーの手前でキャッチ。

シリーズの最新、まだ発売前の第一作。
ソロコンパスの「スーパーラピド」英語圏のためにもVERY FASTって書いてある。ブタのバイラオーラの絵がついてるのだが大汗かいて踊ってる!
二枚組みのもう一枚にはブタのギタリストが大汗かいて必死に伴奏。
あはは....すごいギャグ。
誰のアイディア?パローマ?パストール?デザイナーの名前を挙げてみた。
「オレに決まってるだろ。象かブタにしたかったんだ」
は、いつもながらニヒルなことで結構です....

嬉しくなってしまいました。これがすごくいいCD。
いつも♪=180以上がないって文句言っていたのだけど、ちょっと気の利いた踊り手というのは♪=200くらいには飛ばすものなのだ。できたら250までは欲しい。一流どこのアーティストが燃えて佳境に入るとこのくらいには絶対にリズムは上がる。
フラメンコはみんなが燃え上がっている状態で踊り手がリードを決めてここで猛烈な追い込みをかけないといけない。
そうしてパルマとギターとコントラティエンポが白熱して息苦しいまでの緊張と超人的リズムで決めないといけない。
この緊迫感は普段から身につけないと突然あざやかになんて決めれないのだ。

メトロノームなんかじゃとても代用できないし、リズムボックスも駄目だ。
<<<<<こんな感じの追い上げも練習しないといけないのだけど段々に上げて行く速度というのは練習できにくい。

そこでこのシリーズには各曲(フラメンコの主な七曲がみんな入っている)ごとにスローの追い上げとスーパーラピドのものすごい追い上げの練習バージョンが二通りついている。これはめちゃくちゃ素晴らしい!!!世界的に評価されるだろう、かつてない発想。これさえあれば舞台で無様な失敗はまずしない。エスコビージャの追い上げと決めの速度が120%決められるようになります。

それからコントラのジプシーレベルの早いのがびしばし練習できる。♪=200から300までついてる。文句ないだろ、これ以上は誰もやれないぜ!て感じに持て余すくらいの早さまでついてる。マッハの足と言われたホアン・ラミレスでもこれでおつりが来る筈だ。この二枚組みでカバーできてない速さはなし!ていう自信作のようだ。

早速使ってみたらものすごく面白かった。あっと気がついたら二時間たってしまってました。これね、足の強化にいいですよ。それから足の音質と重心にも。
有酸素でこれ、是非使いたいですけどまだ日本には行ってないです。
あと1週間くらいでなんとか着くかもしれないっていうことですから是非聞いてみてください。私は全面的にこれ、推薦します。
もっと早く出して欲しかったなぁ、昔すごく苦労したんだもの。
だんだん早くなる速度って難しい。機械音では練習にならないしね。
やっぱりパルマで緊迫した感じ、本物の環境にしてくれないと実際の舞台の緊迫感はすごいから他の物では練習にならないです。
このCDではクリスティーナ舞踊団のJUNCOがパルマをやってくれています。
素晴らしいです。ギターもラファエル・ロドリゲスですごくくっきりした演奏だし、あのハンサムで素敵なJUNCOのパルマも切れが良くって最高です。

一人で練習するのは淋しいって意見が良くありますけど、下手なお友達にパルマやられたり、怪しいギタリストにいくら伴奏されてもなんにも上手くなれないですよ。そうして練習後のお茶タイムで評論家気取りに熱心になったりして口先だけの人になりがち。なんでもちゃんとやりたかったら孤独を唯一の友にしないと。群れているうちはダメです。こういうのこそが楽しい人はなまじ上手くなりたいなんて悩んではダメなのよ。お友達とがやがや、趣味だからそれはそれでいいけど、二つは手に入らない。どちらか一つだけ。

●2002年06月23日(日)

ワールドカップー戒厳令のセビリア


 EC首脳会談が昨日からセビリア市で行われている。
このために1週間も前から関所ごとに国家警察が武装して街中の車を厳重にチェックしていた。お陰で5分で着くところにも一時間もかかる渋滞だ。

その恐ろしい事と言ったらない。
このスペイン最強の武装警察官は身長は170センチが最低基準だから大きな、足の長い、逞しい筋肉におおわれているに違いない男性がこわーーーーい顔で迷彩服を着て、なんと防弾服を上から装備して手にはマシンガンをささげているのだ。
もう、胸が悪くなるくらいに車を近づけるのが恐ろしい。
脱出前のマタハリか、落ちぶれたボンド・ガールくらいにドキドキしてしまった。

 昨日はセビリア郊外のコントロールで、武装警察のバンの下には逃走車を罠にかけるものすごい仕掛けが用意されているのを見た。こんなのは実物を見るのは初めて!鎖にサメの歯を鋼鉄で大仰に作りあげたみたいなものすごいとんがり歯がびっしり天をあおいでついてる!この仕掛けを車の前に投げ出すとタイヤはことごとくパンクして車は横滑りに滑るのだと想像した。
そうしてこの世にも恐ろしい仕掛けの傍にはやっぱり屈強の男達がマシンガンを捧げてニヤリともしないで立っている。

男の人ってすごいわーーー迫力だわーーー怖いわーーーー!!!
日頃の生意気は急いで影をひそめてしまう。
どうしたらテロリストに見えないだろうかとじりじりと考えてしまった。ちょっとでも間違った怪しいそぶりのために蜂の巣にされないよう、停車の合図を送られるなり、ピタリと止まり、笑顔を張りつかせたままじっと。。。。
そうしたら制服のおのこは、一言も発せずに手をひらひらさせるので、もっとにっこり笑ってはい、なんでしょう?(トランク空けます?ボンネット?後部座席ですかぁ...?爆弾持ってないです、て焦った)
違うってば!さっさと行け!だよ!!と言わんばかりにいらだたしく手をばたばたされてしまったのだ。あ、行けですね、はいはい....行きますです。
3メートルと行かずして第二の関所、第三の関所、何故か笑顔を貼りつかせて通りすぎる間抜けな私の目にはマシンガンがちゃあんと見えていたのでありました。怖いわーーーーー!

 家に帰れば平和に暮らしている市民に違いないこの人達は、しかし発砲するのだ。(日本はどうして日本の領海侵犯を常習にして好き放題の船に発砲しない?ああ、どうして放っておく?それでも男か!!って興奮してはいけないか...悔しい〜いつまでなめられてるつもり?外務大臣やらせて私にぃ..危険過ぎるって?)
日本以外の国は、飛び道具は使うために持っている。日本人はこれを夢忘れてはならないのだ。

 この厳戒態勢でセビリアは今のところテロリストの襲撃はなかったけれど、今朝、マラガ、バルセローナ、など4箇所でテロの爆弾が炸裂して多くの被害者を出した。その爆弾を仕掛けられた地名に娘が三日後に選手権を賭けたサラゴサが含まれていた。
もう、私は生きた心地がしない。
デパートの地下駐車場に爆弾を乗せた車を仕掛けたらしい。地が落ちるかというような衝撃があった模様。
北部バスク地方のテロリスト、エターラの仕業だ。

 今日はまた、スペインが韓国に負けたのでアジア人は外出しないに越したことはないということだった。先頃のロシアと日本の決戦ではロシアの広場でものすごいリンチと放火があったという事だし。
今日はスペイン人は荒れていた。サッカーというとただでさえ、試合の後にものすごい暴力沙汰が絶えないみたいだ。私はあのスポーツは苦手。
とにかく首脳会談のお陰で武装警官が溢れかえっているために、何にも起きないで、セビリアは明日を迎える。
首脳陣がご帰国遊ばされる....

 ところで、日本でもスポーツ観戦のさなかか、終わりに興奮した観客が殺し合う程の暴挙に出たりすることってありました?

●2002年06月21日(金)

プロ・ダンサー、その2


 舞踊教室の広告にはよく、「プロ養成」という文句がある。
 私はあれにはとても疑問が残る。ここの先生がプロではないのにどうやってプロを養成するというのか、と知り合いの場合はよく思う。知らない名前だと余計にそう思う。評論家と同じで、横丁の名刺屋に「舞踊家〜」と印刷させたら日本は今日からみんなプロだ。

うちはこれは掲げていない。
私は完璧にプロを養成できるけれど、それには厳しい条件があり、大概の人はこれを満たせない。まず、本人がどうという前に外的環境が条件を満たさないと思うのだ。

最低、毎日10時間は稽古しなくてはいけないと思うし、何らかの舞踊の基礎が既にできていても道はたやすくない。そんなすごいのでなくていいんです、という人ならプロの概念をそもそも間違っているので、育てたくない。よその看板に行くか、高度な趣味を目指す方に心変わりして欲しい。

高度な趣味の域に達するのは、安物のプロよりずっと厳しくて難しいのだ。
そして、この中からなら良い教師は育つ。

踊りの教師とアーティストは違う。
アーティストの方がずっと過酷だ。でもこの過酷なアーティストが全部教師になりうるかというと必ずしもなれない。
別の資質が必要だからだ。

教える人は後進に嫉妬してはならない。嫉妬心がなく、的確で、努力しないでも親切でないと勤まらない。その前にその芸への正しい方向を知っていないといけない。道は極めてなくても良い。方向さえ間違っていなければ道しるべにはなれるのだ。

 子供のクラスを始めてから、単なる趣味で終わらせる気はありません、という親御さんに二人ほど出くわした。プロにしたいと言うのだ。それでいてクラスは週1回、一時間しか取らせない。子供は有名私立に通っているという。これでプロになれたら誰も苦労はしない。

 世界のプロを目指す子供は物心ついた時から毎日最低四時間はレッスンしている。学校か芸のどちらかを選択してやらないと二兎は追えない。だからプロにしたいと言うからには学校をほとんど諦める覚悟が親の腹に決まっていないと話しにならない。
だから私は最初から話したくない。

日本の親はみんな学校が大好きだ。自分がさんざん苦しんだ筈なのに、そうして微分も積分もなんにも覚えちゃいないお粗末な自分が今日出来あがり、
それを鏡に映しているのにまだ、子供が生まれると学校を信仰する。
学問が好きで好きで仕方ないという子供でなければ、他の資質はないかと考えてやるのが親切というものだと思うのだけれど...

子供の時に本気で打ちこまないとなれないものはいっぱいある。
これをやらせてみて、駄目になってから学校、という手はいくらでもあるのに中々こういう発想をする人がいない。
不思議だな、私でさえ考えつくのに。

大学なんて全部の夢が破れてから最後に暇つぶしに行けばいいと思うのだ。
たとえば中高年になって子供も手が離れて淋しくなった時から、とか。
市営プールで医者に勧められて歩き回っているよりはわくわくするかもしれない、大学は。この年からなら...。
変だろうか、これ。

●2002年06月20日(木)

プロ・ダンサー


 私には二人の娘がいるが、長女は先頃のアンダルシア選手権で金メダル一個と銀メダルを獲得して来週北部アラゴン地方で開催される全スペイン選手権に初出場する。下の娘はやっと八才になったばかりだが、家族はそういうつもりはなくても、物心ついた時からこの姉の栄光に隠れてしまっている。
 運動神経は割と良くて水泳は姉より小さい2才から浮き輪なしでもう泳いでいたくらいなのに、それでもこういう家に生まれてしまったので騒いでもらえない。

 性格はのんびり屋だけど根気が良くて、いつも夢と現実の境が薄くてあっちこっちの空想の中に生きている感じがする面白い子供なのだ。この長女と正反対の性格の娘は、実は私の幼少時に生き写しだ。

この子を叱っている時など自分につばしているようにばかばかしくなる事が年中なのだ。「ママもついに直らなかったんだ...私達は同じね!」とくすっと笑うことが頻繁だ。
この子の痛みは実は分かりすぎて辛いことも多い。
タイムマシンに乗って子供の時の自分を見ているような不思議な感覚がいつもつきまとう。

 踊りは教えなかったのに、持って生まれた踊りの天分がある。親の欲目ではなくて冷静なプロの目にそう映る。それでも自分では教えずに親友のバレリーナに預けて基本を見てもらっていた。セビジャーナスは教えていないのでまだ一番しか踊れない。(夏に鷺沼で誰かに頼むつもりでいる。)

 先月いよいよ八才の誕生日を迎えたので王立プロ舞踊家養成学校を受験させてみた。ここの入学は八才まで許されない。
日本語に訳すと王立音楽芸術院とか大層な名前になる。ここにはピアノやら色々な学科があるが舞踊科が一番人気がすさまじく、倍率が高いと言われて久しい。
とはいえ、スペインだからコネもおおいに物を言う。
私はここの教授に知り合いが多いのだけど、色々迷った末に誰にも電話しなかった。同点が重なった時に外国籍は非常に不利だから本当は一言お願いして公正を期してくれるように言っても良さそうだったのだけど、やめることにした。5日前に発表になったが、貼り出してある紙に目を走らせていてほとんど気分が悪くなりそうになった。

アルファベットで苗字が先に書かれているからTを見ないといけないのだけど
全然うちの名前が出て来ない。100人の入学とプラス17人の補欠だけれどTから下って最後まで出て来ない。
こんなに出来が悪いわけがないからやはり国籍で落とされたと思うと不憫な気がした。実技試験では並み居る試験官の一人が口笛を吹いて驚きを表したと言っていたのに、なんともかわいそうなことだな、と落胆して、117番からうつろに目を上げて言ったら、上位7人だけ別扱いで載っていた。

「ミエルダ!」...周りの貴婦人がちょっとびくっとする。(悪い言葉だから真似しないでね)
最初の2行目に名前があるなんて思わなかったのだもの、すっかり見落としてしまった。あーーー心臓に悪い。余計な事しないでよねぇ、もう!
 総合点10点満点中の9.5を取って二番で合格。授業料は奨学金が出るらしい。
 なんとまあ....感慨深いことだ。

 フラメンコでは史上初めてと言われた名誉留学生としてこの国に渡り、今、私に生き写しの娘がこうしてここに入学を許された。...私は実は自分はここから始めたかったのだ。八才よりもっと小さい頃に、私はここから始めたいとはっきりと日本で思っていた。
人生の不思議。運命の不思議。
夢は見るものですね。こんな風な未来はとても思い描けなかったけれど。

●2002年06月17日(月)

稽古法ー累積効果は怠け者向き

 すごい暑さだ。
 知っていても毎年夏が来るたびに驚く。
窓の外が見えただけで、あまりの強烈な光に呆然とする。
ここの人間は雨が降ると約束の時間と場所に現れない、夏になるとどこにも行きたがらない、というのは当然のような気がする。

 昨日もすごい暑さで、しかも珍しく仕事も何もない日曜だというのに朝の10時にクラブで器械に囲まれているって、私も相当なものだな、と思ったけれど、こんな日に限ってスポーツ好きの人は朝からもうだくだくになって自転車なんかこいでる。
 筋骨たくましいバスケの選手に鉄アレイの持ち方が甘いって指摘されてしまった。微妙に角度が違うと言われた。
ここに来ると大抵誰かに何か言われる。

このむくつけき筋肉の塊マンはなんとこの上に更に厳格な食事コントロールを実施していると言うのでちょっと驚いた。そんな事は無頓着にしていてもこのすさまじい運動のやりっぷりなら構わないだろうと見えてしまうからだ。肩の筋肉のすごさと言ったら私の太腿を持ってきてもまだあちらが勝ちそうだ。
今のやり方でもまずくはないと思っていたのだけどもっとゆっくりもっと重みに耐えてやらないといけないって、非常に「暑苦しい」事を言う。
理論としては正統的な気がしたから余計嫌になった。
でも、今日はちゃんとその通りにやってみる健気な私です。

クラブにはものすごい根性の人が少なくなく、ここで見かける華奢で美人なクリスティーなんかあんまり頑張るのでついにただの人ではないと結論していたら、やっぱりマラソンの選手でしょっちゅう優勝しているつわものなのだと知った。ほっそりと小柄だけど全身よった縄のような筋肉で、そこに愛らしい清楚な、体とは不似合いなくらいの美人顔が乗っているのだ。この人は腹筋を15分も30分もやるという。時間で言われると大したことないと思うかもしれないけれど、200回でも4分か多くて5分くらいのものですからね。
私はこんなにやれない。嫌!一度に200だけ。
 
昨日はだらけていたけど意外と筋肉がしなやかで最近はすごく強くなってきたと実感できた。だれていても後半に希望に燃えて頑張ってしまう日だった。
ところが今朝は元気いっぱいで跳ね起きて、やる気満々で稽古場に立ったのに始めの3分でなんだか立ちくらみが来た。

うへーーー暑い!!!

そこからはもう、暑い〜しんどい〜の連続。滝のような汗がまだ何にもやってないって!冗談はやめて!というくらいにどろどろ。
結構根性が要りましたね。

でも、筋肉はやっぱり強くなってる!と実感。
いつも左脚が右より多少弱いのだけどここ2ヶ月の訓練で追いつきつつあり。
開脚も目に見えてアンデオール。
うれしーーーーーーい!!!!

やっぱりあれです。当たり前ですけど続けてやる。これです!続けてずっとやる。1ヶ月しないで効果が出るし、二ヶ月のタームになると間違いなく実感できる。どこにいてもやる。ホテル住まいの期間もやる。絶対にやる。場所を選ばずダレずに頑張る。今年こそ絶対に鍛えぬくぞ!と決心。
筋肉さえちゃんとしておくとフラメンコは練習しなくてもウルトラ級の振りがじゃんじゃん出て来る。そして疲れない。怠け者にはこれよ!

●2002年06月14日(金)

ソレア・ポル・ブレリア、マルティネーテ、ソロンゴ・ヒターノ



以下、説明しているCDは全部ソロ・コンパス・シリーズの数々です。

レッスンの教材用CDでとても優れたのがある。
シリーズ中の「バイレ・フラメンコのボリュームU」だ。
これは先にTが出ている。Uの方は随分前に誰かがBBSに書き込んでいたが、私は実際に全部聞いてみたのは今週初めてだ。八曲入っていて大変便利。

ジャケット裏側の若い男性はホセ・ガルバンの若かりし頃だ。そのパレハでカッコ良く決まっているのはイスラエルとパストーラの母であるエウヘ二ア。私はこの人の現役時代は見ていない。ブラソが優美な踊り手だったらしい。
この古い写真、なかなかの味わいです。

 さて、このCD、ガロティンから始まって最後のマルティネーテまでざっと一時間だ。これ、初めて聞いた日に全部頭から踊ってしまった。
ああ、楽しかった!
こういう勉強はいいですよ。
小一時間で終わる頭のウオーミングアップです。
全部即興でドジを踏まずにやってみる。2度と思い出せなくてオーケー。自分は大丈夫、という保証を勝ち取る。どこに出ても怖くない、という訓練。
こういう事をやっていると10年くらいは退屈しないで暮らせます。
誰にも月謝を払わず、友繁晶子フラメンコ・アカデミーも退会してしまい、このCD一枚で大物になる!まさに立志伝のような人物にだってなれる!
スペイン人なんかに習わなくても、国を一歩も出なくても十分うまくなれます。

フラメンコの即興性と感受性を養うのにとてもいい勉強なんです。運動の量としても申し分ないです。是非試してごらんなさい。ジョギングなんてものじゃないくらい汗かく。

 ところで、この中のマルテイネーテは分かりやすくていいですよ。マリアデル・マル・モレーノのシリーズの同曲もいいですけど、速度がこのCDは初歩と中級にはぴったりです。私だと追い上げで少し早さが足りないけれどレッスンは丁寧にした方がいいのでこれでも十分です。それからソロンゴ・ヒターノが入っていますね!是非、次回集中受講者はこれを聞いておいてください。歌詞はガルシア・ロルカです。

 それからシリーズ中のホアナ・アマジャのソレア・ポル・ブレリアは速度とバリエーションが豊富ですが、「アレグリアスUとカンティーニャ」はギターの入っていないソロの部分は完璧にソレア・ポル・ブレリアとして使えます。
これはダブルCDですけどCD2の方の5番と6番が最近とっても気に入っています。♪=160と168って最適の速度なんです。
このCDの極めつけは♪=220となんと250が入っている!!
追い上げの速度の練習に最適です。めちゃ早い。脚がはがねのように強くなれる。この速さはメトロノームにないからやっぱり素晴らしいCDです。さすが踊りが良く分かっている。抜かりなく考えて作ってあると思います。

 これらの速度と素晴らしいフラメンコのアイレに満ちたコンパスの刻み方で、私はいつ聞いても血が沸いてしまう。やっぱり粋なアクセントを取ってくれないと踊れない。練習の時も振りつけの時はなおさらこのレベルでないと何も創作できないです。
もう一つ、毎日聞かないと気が済まないのは、パコ・ハラーナのギターのシギリージャ!毎日踊りたい。これはシリーズのジェルバブエナのシギリージャとマルティネーテです。このCDの4番の速度が素晴らしい。足を作るのにぴったりです。ギターの切れもとてもいい。4番と5番と続けるのだったか3番と4番と続けてやるんだったかちょっと失念。どちらかが無伴奏なのでちょうどマルティネーテ用にいいのです。これをかけるとこれだけで何時間もエンドレスになってしまう。そのくらいに良く出来ている。
そのくらいにアイレとフエルサのある演奏です。

フラメンコってやっぱり素晴らしい。
私は勿論いろんな舞踊を勉強したけれど、自分の激しい気性と感覚の陰影にぴったりなのはこれしかないです。フラメンコという媒体こそが自分の何もかもをストレートに表現できる。つまりまだ、これを越える物にめぐり合っていないです

●2002年06月08日(土)

ラトンシート・ペレ


カデイスのスポークスマンから先程電話が入った。
今年度の決勝、アンダルシア選手権の本日は開幕第一日目です。

長女のノエリが200メートル個人メドレーで本日圧勝したとの事。
金メダル獲得。身長130センチの小柄で奮戦。2位との差を大きく開いて
満場の拍手だったとか....うーーむ、レッスン取りやめて行くべきだったかも...2分40秒。早いなぁ....あれって飛びこむなりいきなりバタフライやってバックやってクロールやって平泳ぎやらないといけないのですよ。見てるだけでしんどいすごい運動。

だけど自分の娘だから憚りがありますが、バタフライのフォームがものすごく美しくて動きに無駄が全然ないです。
あれは素晴らしいですね。

こんなに勇ましい燃えるような根性の選手なのに、まだ乳歯が落ちたらねずみが夜に取りに来るって本気で信じてるって....絶句してしまいました。
一昨日に乳歯の一つが落ちたらラトンシート・ペレーはお金くれるだろうかって心配してるんですものね。試合前だって言うのに。
あの、スペインではねずみのペレー君が夜、枕の下の歯を持って行って変わりにコインを置いて行くって小さい子達が信じているんですよ。

11才でサンタクロースはいないってみんな分かるように、もうねずみのペレー君なんかまさかと思わないのかなぁ...本気でしたね。私がかつがれたわけではなくて。で、競技会になるとこのすごさで....???

明日は400メートル(何だったかナー、これですもんね。クロール?)と200メートル背泳。
いつも表彰台に立つとあまりの小柄に会場からどよめきが起こります。
Pero mira que chjquitita! まあなんて小さいの!って。

ねずみのペレー君はあなたでしょ!みたいに小さいのです。
この体でこの記録はきついですよね。
さぁ、この先ただの人になってしまうか、案外頑張るか、まだ見定めが難しいところですね。

どちらになってもスポーツに磨かれた人格というのは私はどんな成績より尊いと思っています。
肉体の鍛錬って大事です。
みなさん、私達も頑張りましょうね!!!

●2002年06月06日(木)

年度末のスペイン


 スペインの年度末は六月だ。
この月は色々なけじめがある。
学校はこれにて学年が終わって九月半ばから新年度の開始。

 家族的な動向としては今年は結構激変がある。

水泳娘の長女があと数時間で他の選手達とバスに乗ってカデイス県に行ってしまう。私はなんとなく落ち着かない気分だからこれでも母性本能がまともに機能している証拠かな、と安堵の溜息だ。

カデイスの県立競技場で全アンダルシア八県の代表選手が一同に会して今年度のハイライト、アンダルシア水泳選手権がいよいよ開催される。明日からだ。
三日間に渡って結構熾烈な戦いだ。午前中さんざん戦って、午後またなのだ。
見に行くとこっちのがぐったりしてしまう。
ものすごい筋肉の塊と化したツワモノ達が水飛沫を上げてばく進して行く舞台の展開は結構みごとだ。

とは言え行っても無用の長物の私は、決勝の最後にちょろんと行けばいいと、家族みんなが言うので、お言葉に甘えて週末のギリギリまで行かない。
他所の選手はおじいさんおばあさんまで応援に出かける。
行くとあれがノエリアのお母さんよ、というささやき声がそこここで聞こえるくらいに私はいつも行かない。仕事で忙しいのもあるけれど、薄情な事にスポーツ観戦が好きではないのだ。
私が行くと午前中はショッピングにでも行けば?決勝まで体育館でストレッチする?などとみんなが気を遣うのだ。

 集中レッスンの日程をずらしたお陰で、今週末の上記のイベントに続く
全スペイン選手権に応援に行く事になった。日本に行く1週間前だ。

うちの水泳娘はアンダルシアチャンピォンだけれど、年が行かないものだからまだ全国大会には出場できなかった。今年は11才になったので、やっと資格が出た。晴れの全国展開の舞台出場というところだ。

この大舞台はスペイン北部のサラゴサで行われる。
アラゴン地方だ。舞踊ではホタが有名。
ちょっとわくわくしている。行った事がないのだ。

記録で決まるスポーツというのは便利なもので、スポーツ新聞にずらっと種目と記録と選手の名前が出ているだけで全国の関係者は相手を熟知している。
大会で顔を合わせて、ああ、あなたがあの誰それでしたか。お会いするのを長年楽しみにしていました、みたいな感動的な場面が待っている。

怪しげな評論家に四の五の言われたり、とんでもない見当はずれの評論なんかされないで済む記録のスポーツは清潔で羨ましい。
ストップウオッチが全ての決め手だ。
いかさま師の入りこむ隙も、ない。

●2002年06月05日(水)

留学について


 ゲストブックにアメリカに来て!という投稿が幾つか載っている。
お誘い、ありがとう。そう言っていただくと嬉しいです。
でも、移動はどうしていますか?勿論車でしょう?
そしてああいう大きな都市は渋滞がつきものだし、郊外ならハイウエイをみんなびっくりするようなスピードで疾走して行く。
おたおた標識を見ているうちにとんでもないこわーーーい地域に踏み入れちゃった...てなりそう。

 スペインでこんなに隅々まで熟知していても時々うっかりしてトレスミル・ビビエンダなんていう恐ろしい地区に入ってしまうことがある。白昼発砲騒ぎが起きて流れ弾で死んだりするのだ。
恐ろしげな人々がおおかがり火を焚いて車を燃やしていたり裸足の子供がわめきながら飛び出して来たり....それでも北米のスラムの緊張感から比べたら極楽みたいになんでもないって言われる。

 この間こちらに来た生徒が言っていたけれど、朝、マンハッタンの有名ホテルの正面玄関を出るなり、男の人が頭を打ち抜かれて血だまりの中でこと切れていたというの。八時半とか九時とかいう堅気な時間に。
この恐ろしさって普通じゃないですよね。
友繁の実家はニューヨークが長かったのだけど、怖い目に何度か遭っているらしいし、なんにでも鷹揚な夫も私のニューヨーク行きは全然いい顔をしない。
ワシントンに住んでいる私の親友のケリー・オトゥールは、ジプシーが怖いっていうけれどニューヨークの空港に降り立った時の緊張感には比べようがないわよ、て脅かすのだ。
ともあれ、
ニューヨークシティバレエのリチャード氏からDear AKIKO,なんてサマーコースのご案内なんかメールでいただいちゃったりするんだけど、そしてアメリカン・バレエ・スクールの案内なんか郵送してくださっちゃったりして心が動いてしまうのだけど恐怖を押しても行くインパクトに成り得ない。
ブロードウエイねぇ...勉強になりそう。毎日なんか見たい!
でも夜な夜な、出歩いて、あの街は怖いなぁ....

どうしてかイタリアかイギリスだと安心。ヨーロッパは親近感が強い。
この間の朝はロイヤル・バレエからメールいただいて、流石に嬉しくなってしまった。だからってどこか上手くなるわけでもないのに。手形が発行されたみたいに浮き浮きしてしまった。
ここは車が反対なのよねぇ、日本と同じで。参っちゃうなぁ....おまけに霧だ。留学で命落としたくない。ピレネーを越えただけでも勇敢だった私です。
でも、来年は絶対にどこかに出よう!発表会ないし!!

●2002年06月03日(月)

トレーニング、水泳


 昨日は家族でトレーニングとしての水泳についてかなり掘り下げた討論が過熱して、私が負けました。

家族というのは、水泳のアマチュア選手で今日に至っても毎朝タイム計って一日も欠かさずに本気で泳いでいる私の夫、この父親に仕込まれて四年間連続アンダルシア・チャンピォンの長女、スポーツクラブの奨学生としてその予備軍に入りそうな下の娘(は、まだ小さいから横から見当はずれの意見のみ)

この中で毎年競技会の優勝カップを手にしないのは私だけ。(そんなものに出ないもん!恥ずかしい)クイックターンがまずく、バタフライが全然上達しないのも(本気出ないからだってば!)私だけ。よって全然分が悪く、意見は尊重されにくい。

 運動と言っても「維持」としての運動と、積極的に筋力「アップ」の運動があるのは皆さんご承知のことと思う。更にこの二つの中にもうんとやるのとほどほどと、運動不足解消程度の時間と熱意の割き方、という段階色分けができる。これ、みんなまとめて一口にただ、「運動」と呼ぶ。

 だから注意が必要だ。どの段階と濃度を求めているかによってプログラムががぜん、違ってくるからだ。

....で、ここまでの理解は間違っていないし、私だってある程度は運動の専門家だ。うちの家族の場合は維持としての運動というより、結論として維持にはなっているけれど、アップとしての運動に全員が身を入れている。

 何が話題の中心になったかというと、私の水泳はバタフライやクイックターンの技術うんぬんとは別に、やり方が非常にまずいのだそうだ。

 まさか!と今まで何度言われても信じなかったのだけど、だらだら泳いでは駄目なんだそうだ。...(うーーん、だらだらしているつもりはないんだけど本気で疾走していない。考え事したり、頭の中で振り付けしている。)彼らはなんと泳いでいる最中に汗をかくくらいなんだそうだ。
えーーー!?冷たい水の中でぇ???信じられない、そんなの!
 
 二人そろって汗かく!!!と主張。

 娘が言うと途端に信じてしまう。何しろスポーツ新聞に写真と記録が年中出る選手だし、水泳界ではノエリア・トモシゲの名は知れ渡っている。これで元は取った!(=妊娠と出産のあの苦労の事)てなものだから、その経験談はいくら若くても私は信じる。

 スペインのプールは日本のそれより断然水温が低い。日本みたいに健康のためにプールを歩き回っている老人など一人もいないのだ。老人でも元選手とか1000も2000も泳ぐ人しか来ない。だから水温はとても低くしてある。
その中で汗かくって.....

800メートル10分くらい、どんなに大目に見ても15分で泳ぐくらいじゃないと駄目だって二人がかりで力説。

「水の中でだらだらしていると逆効果、皮下脂肪がつくんだぜ!」

嫌だ、もう!!!何よ、その皮下脂肪って。
皆さんもご用心下さい。

●2002年06月02日(日)

 練習着、練習用スカートはゴージャスに!



 先週からずっと練習用のスカート見本が出来たのでチェックして欲しいと言われていたのですがついに本日まで行かれず。

3ヶ月くらい前からうるさく色の指定をしてやっと決まったものです。
生地はイタリアから取り寄せでした。(でもスペインの生徒とともに大量注文でしたからすごく安いので心配なしです)発色は目の覚めるような美しさでした。
 アカデミーの「任意」の練習着として赤いレオタードを指定していますが、これは強要しないうちのスタンスとしてどうせ買うならこれにしておいて、というものです。困らないなら是非買っておいていただければ、衣装がない人でも一応なんとなくそろうという種類の「任意」です。

 スカートはありとあらゆるものをてんでに買いそろえるので、今度からもし買うならこれ、というのを打ち出して上下そろえたいと思っていました。
大変に便利で見栄えの良い練習用とは名ばかりの衣装となるスカートが出来てきました。しかもサイズはフリーなので太ってもやせても関係なし。

七月に見本を見せれると思うので買い換えたいと思っていた人はちょっとお待ちを。巻きスカートの一辺にフリルがそのままウエストまでさかのぼっていて非常にゴージャスです。

 巻きの重なりがたっぷりしているので回るととても美しい。
さっそくこの見本は私の物にしてしまう...先日の黒のトップと組むと抜群にスペインらしい!

みんなで頬に色気ぼくろを入れるといいかも。(あ!知らない?フラメンコのメークとして昔はほくろを入れたものなのよ。一点入れるだけで色っぽくなるという、興味深い習慣ですが、ま、冗談でやってみましょう?)バラなんかくわえてみたりして...息つぎはどうするかの研究。ははは...

 これで上下がとてもフラメンコらしい色で揃うので基本の一着として群舞にもオーケーですね。無駄がなくて素晴らしいでしょう?

これで益々あとは踊りだけ、と追いこまれる恵まれたあなた達です。

http://www.flamencoole.com/

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