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2002年10月のセビリア発信・つれづれ草
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●2002年10月30日(水)

とてもフラメンキートな土地

 今、引越しがからんでいてとてもごたごたしている。
こういう状態でも芸術的創作が多重処理できないとプロじゃない。
ここでの生活のあらゆる受難が何でも冷静に速やかに出来ていれば、舞台の上で突然何か変調が来ても対処できる胆力が養える。
日々、あらゆる経験をとらえて修験者のようにして暮らすべし。

...と、気取った所で何に悩まされているかというと、スペインでは家が建ち上がるとそれはただの箱が出来たというのに過ぎない。

電力、電話、水道、ガスはそれぞれの機関に出向いて申請して来ないといけない。これは家の名義人でないといけないから、どんな偉い学者でも自分で出かけないとラチがあかない。どこに行ってもすごい順番待ち云々は今更なので書かない。
めでたく契約して来るとそれぞれの機関から工事人がやって来る。
これが笑ってしまうのだ。

昨日は電気が供給されると言われた。
ブレーカーを買っておかないといけないと電力会社で言われて
????
そんなバカな。そんなのは配電盤についているんじゃないの?
結論=これだけついてない。
自分で買う。
買って待ってないといけない。

朝に工事人から電話がかかってこれから行くがブレーカーは買ってあるかと言う。買ってなかったら売ってやる。
取りつけ工事手間賃と共にいくらいくらだ、と言う。

手間賃って?
公共機関の工事人がどうして電力会社に払った取りつけ料の他に個別に要求する?
結論=要求するのだ。嫌ならこれだけのために電気屋を別に呼んでしかる後に電力会社が線をつなげに来るらしいのだ。
いつになるかたまったもんじゃない。
不本意だけど背に腹は代えられない。

 電話局に連絡するのに5日もかかった。お客様番号にかけろというからそうすると音声が出て星のマークを押せ、次は何を押せ、というのに従っているうちに電話が切れてしまうからだ。
凄いですよねー、ここのストレスって。で、目出度くいつの日にかは連絡つく。
ついたけれども、電話取りつけに25日もかかると言われた。
なんだってぇ!?
ぐずの電気も水道すら、これに比べたらすらすらと運んだのに通信の最先端である筈の電話がどうして、しかも新規じゃないのに25日もかかる?

夜半、夫と呼ばれる人にぼやくと、
「そんな、早くなった方じゃないか。忘れたのか?
スペインに来て最初の電話を設置してもらうのに一年半と言われて驚いたのを」

そうだっけ!!!????
ふあーーー、早くなったのね!たったの25日でついちゃうんだぁ。

●2002年10月29日(火)

フラメンコー振り付けについて


 この間ヘレスのマリア・デル・マル・モレーノと話していた時に、ジェルバブエナは素晴らしいのだけど、あのギタリストのご主人のパコ・ハラーナがいなかったらあれ程の精彩はないだろうということになった。

 勿論これは悪口なんかじゃない。
バコ・ハラーナは実にうまいギタリストなのだ。
彼の音楽とアイレがやっぱり素晴らしい効果を上げている。

 エスコビージャ一つ取っても、ダサイリズムなんか刻まれてしまうともう、死んだほうがまし、みたいな最低の気分になる。
どうしてかっていうと、こればっかりは注意して直るような問題ではないからだ。直るくらいなら最初からそういう事にはならない。
感覚の悪い人にカッコいいのにしてくれって言ったってはい!とは行かない。
だから不幸にしてそういう相手と組んでしまった時は忍耐があるのみだ。

「えー!?この中から選ばないといけないの?」
始めて選挙に行った時にもっと他に良さそうな候補者はいないのかな、と愕然とした。あの落胆とちょっと似ている(....て、かなり真実なる冗談。)
このギタリストで勝負しないといけないの?....そんな落胆だ。

 グワヒーラスという踊りはギタリスト次第でがらくたのようになってしまう。グワヒーラスのフアルセータをふんだんに持っている人はそうはいないから
この曲は結構準備が大変だ。
グワヒーラスやガロティンで感心するほどの技を蓄えているギタリストというのは得てしてブレリアがそんなには野生でなかったりする。
両方持っている人は少ない。

 だから私が一番望むのは、フラメンコを物語として一大ロマンだの、何かに題材を取って作品として踊ることなんかじゃなくて、この曲ならこのギタリストとこの渋いカンタオール、こっちの曲にはなんたってこの人!
こんな風に曲ごとにその名人と組んで採算なんか絶対に取れない、けれどもフラメンコの最高傑作としてのメンバーを各曲で揃えてやる事だ。
これは凄い。誰もやった人がいないー当たり前!

ああ、そうそう忘れてならないパルメーロ!
パルマの効果も別々の地方のプロをわざわざ雇って来る。
微妙にアイレが違うからだ。そして曲ごとに使い分ける。
思っただけで垂涎のフラメンコでありますな、いやはや....
キャスティングを考えただけで嬉しくなります。

●2002年10月22日(火)

OFSの録音スタジオから


ここのところ録音スタジオに入り浸ってる。
何をしているかは書いてはいけないと口止めされている。
発売前の録音についてべらべら喋ってはいけないのだ。
新企画のわくわくするような録音の事も書いちゃいけないって言う物だから
他の事に意識が余計に向けれない。

 録音はとても面白いし、企画はとても素晴らしい。
いい仕事を少しずつしかやらない主義のOFSは、世界的に信頼されつつあるのだからもっと大きく広げたらいいのに、と思うのだけれど、ここの社長でプロデューサーである友繁健人氏は、大きい会社というのが死ぬほど嫌いだと言う。あら?そう?どうして?

 訳のわからない自分の知らない社員が出入りしていたり、どうなっているのかわからない仕事が山のように知らない社員の手から手へ流れていて実態が実感できないようになるのが嫌なのだそうだ。

ちゃんと上から下まで全員が何をやっているのかを意識して期待して楽しみにしながら本当に良いものしか作りたくなく、みんなの分らない、どうだか知らないものまで作りたくないし、そんな無駄はしたくないのだそうだ。
コレステロールのない健全な仕事だけに満たされていたいと言うのだ。

 ここの社員がまた、全員スポーツの何かの選手なのだから面白い。
クリスマスシーズンになると宴会の代わりにバスケの他流試合にみんなで出かけて行くみたいなのだ。
プロデューサー自ら小雨の日でもなんだかドリブルなんかしている。
録音セットの横にピンポン台なんかがあって、何かの待ち時間にみんなでこういう事をしていたりする。CDを買うと水泳キャップがもらえたり、このデザインを毎年ここのデザイナーが楽しく工夫している。会社はスポーツクラブや選手のスポンサーになったりしている。
競技会になるとOFSのオリジナルシャツで選手達がごった返したりしている。

 数年前にインテリジェンスビルに社屋を移すかどうかの議論があった時も結局はもっとヒューマンな環境で芸術に携わる方向で、と言うのでトリアーナを出なかった。
ここは元、アントニオ・マイレーナ始め著名なアーティストが根城にしていた由緒ある建物の跡地なのだ。

だから録音する時にもフラメンコの精霊が立ち上って来る気配がする。
そうだとアーティストが信じている節がある。

そのためかどうか、録音が終わってしまってもギタリスト達が毎日のように遊びに来て日課のようにしている人もあるんだそうだ。
来ると楽しいらしい。
自分のじゃないCDのミキシングなんかに口出ししてここはちょっとこんな風に、などと言ってうるさい人もあって時々かなわないんだそうだ。
でも、契約が終わった後でも呼ばれもしないのにアーティストが毎日来たくなってしまうっていうのは良い事なんじゃないかと思う。
うるさくってもそういう交流の中から質の高い会話も生まれるし、録音以外の時間もアーティスティックというのは他の無機質なスタジオでは有り得ないのだから。
次の企画、喋りたくてうずうずしてしまうから、ここで止めて稽古に行かなくては。

●2002年10月19日(土)

教科書問題と慰安婦について


この間BBSでちゃんとお返事できなかったので
今日、多少のお答えをしておきます。

日本ちゃちゃちゃクラブ
http://www.nc4.gr.jp/

私は、日本史、特に近代史はここのHPで勉強する事が多いです。
かなり難しかったりするのですけれど、何か知りたい時に書いてない事がなく、私のように本がすぐ買えない環境の者には便利です。
質問もできてしまうし。

教科書問題もここでかなりな意見が読めます。
週末、ちょっと目を通されては如何でしょう?

慰安婦も南京大虐殺もなかったと思いたかったのですが
どうもそうは行かないみたいです。

慰安婦問題については、ここのNC4リンク集にどっさり出てきます。
まだ全部は読んでいないのですが、この中で慰安婦問題についてのFAQがあり、これと幾つかは読みました。
http://www4.justnet.ne.jp/~kodomo/ian/index.html

子供達には反省と謝罪のほかに、戦争というのはこういう事が起こるのだと言う事も教えないといけない。
白人はここまでしていないから彼らは日本人より倫理的に優れているという論理には結べないと思う。

慰安婦いなかったけれど、原爆は落とした。

あれは科学者も含めてあの爆弾の威力がテストしたくて仕方なかった。
例えば敵国と言っても親戚みたいな白人国のドイツに落とすわけに行かないから、劣等と見なしていた日本ならいいだろう、と落としたと認めている。科学する人までこうなのだ。

そこまで教えてくれるだろうか、社会の先生って心配です。
あんなにあっさりこんなこともあんなひどいこともしてきましたって教科書で自爆してしまっていたら、先生がちゃんと掘り下げてくれなかったら子供達に歴史が伝わらない。

やっぱり日本人としての痛みと誇りも教えないといけない。反省だけしてどうするわけ?何て言うか、日本人って自国の被害者の部分はみんなすぐに忘れてしまう。中国や韓国のような執念深さの1000分の1でも薬にして飲むと良いかもしれない。何につけても情けない事だなぁ....

ルーズベルトとチャーチルがあの戦争を起こしたくて仕方なかった事は教えないのだろうか。
パールハーバーだってやらないとダメだ。
外国に出たら絶対にいじめられるのがここの所なのだから。

一介のフラメンコダンサーでしかない私は、こういう歴史教科書を手にして気をもんでしまいます。
日本て本当に外交がまずい。
こんなにまずい国も滅多にあるものじゃない。
そこへ持ってきてこういう教科書でどういう人材を育てる?

どらえもんもしずかちゃんも出て来てくれてるけれどね、このまま子供に教える訳にはいかない。なんでこういう手のかかるものを出版したりしたのかしらん。漢字教えるだけだって限界ってくらい大変なのに...
「放課後って知ってる?」
「うん!知ってる!!」
「あら、本当?言ってみて..」
「ホウカゴって、こういう四角い編んであるカゴよ、果物入れる」
こんなだもの、セビリア生まれの子って...この教科書で民族の誇りまでねぇ...苦しいなぁ、教師と二役の親としては。

●2002年10月17日(木)

フラメンコー上達の定義



 秘訣というのはどんな芸能にもある。
けれどもそれは案外自分の思い描ける範疇に在ることが多い。

ただ、まさかそこまでやらないといけない、てこともないだろう、とたかをくくっていて実は「そこまでやらないといけないのよ!」と思い知らされるだけだったりするのだ。

 私みたいに思いつく限り物心がついたかどうかと言う頃から舞踊に関わっていると、本当にはそんなに驚くことにはぶつからない。
一瞬、あら?と思ってもそれは冷静に分析すれば今までの全ての経験内にあり、ただもっとアクセントが強かったりインパクトがあるくらいの違いで、本質的に全く違っていて驚くことはない。
 これは舞踊に限ったことではない。
 スポーツでも本質において共通している。

時々、こういう諸々は人生の定義でもあるんじゃないかと思うことがある。

 夏に筋トレを専門家に徹底して見ていただいて、微妙に違っていたりしたけれど、本質においてはいつもの通りで別段良かったのだ。
ただ、追い詰め方が足りなかった。
足りないと指摘された訳だけれど、本当に気がつかなかった訳ではないのだ。
実は自分でやっている時に、ここのところで止めないでもう少し先まで頑張るともっと苦しい、もっと効果があるに違いない、という思いはあったのだ。
意識しなくてもこのくらいまでやるのが本式じゃないかな、と匙加減は感じていたのだ。....それをやらない。そこまでしないでもいいかなぁ、なんてすぐずるい事を思ったりする。
私のように何でも知ってます、分ってます、なんて言うプロでもすぐにラクをしようと本能が惑わしたりするのですよ。
由々しいことです。恥じ入らないといけない。
つまりそのくらいに真面目な努力というのは地味で辛い。

「ずるしないで限界までやらないとダメ!」
とくっきりと容赦なく指摘されたのがこの夏の収穫だった訳だ。
あ!やっぱりぃ.....ここにも幾何学の王道なし。
至るところ王道なしね、と思い知らされるわけです。

 でもレッスンていうのは果てしなく地味だし、自分の上達は思い描くように華々しくない。だんだん鬱々としてくる。
スペイン留学したら断然違って来るかも。
新しい自分の才能が花開くかも。
そういう美しい夢を見ないと進めないくらいに普段が地味でやりきれなくなる。一流のアーティストにつけば、彼らのきらきらの粉くらいは自分にも振りかかるかもしれないし.....。

 昔マノーロ・マリンが言った事に、一流のアーティスト達と俺お前みたいな仲良しになった時に気をつけないといけないのは、人間として親しくなったからって芸風も同じになった訳ではないと言う事。
多くの著名人と親しくしているうちに自分の縮めないといけない地味な努力はしなくていいような大きな気になる事。これは肝に銘じないといけないんだよ、と。

誰に習おうと、どこに行こうと下手な自分からは絶対に逃げられない。
逃げる手段は地味に潰す以外に絶対にないのだ、と。
でもこれを生徒に言っちゃいけないよ。言うとあなたを恨んでそんな事は言わない先生のところに行って続けるんだから。才能のない人ほどそういうものだよ。いつか先生になったら思い出しなね、とも。

なかなか含蓄のある言葉だな、といつも思い出す。

●2002年10月14日(月)

踊りの基本


タンクトップから突然ジャケットを探しまわる季節がやって来た。
長袖のブラウスという季節がここにはない。
一夜明けると冬、みたいな土地なのだ。
それでいて日中は半袖が欲しいと思ったりする。一日の温度差が15度くらいある。
 今朝はロンドンも顔負けの濃霧だった。日本でこういう日に出会った記憶がない。先週から朝は決まって濃霧が立ち込めている。
ハンドルを握ると緊張する。
歩いていればロマンテイックで素敵かも知れない。

 今、タラントの振り付けに入っている。ここから派生してタンゴ・ヒターノに取り組んだりしている。昔はこう言う物に味が出なくて苦労したけれどこの頃は割と得意だ。我慢して精進していれば何でも道は開けて来る好例になれるかしら?

女らしさとか、優雅さとか、ダイナミックな動きや繊細さというものにも苦労したかも知れない。魅力というのが出て来るには技術が完全に消化されていないと進めない。そんな日が来るのか?と懊悩したのは良く覚えている。
今が完全というわけでは勿論ないけれど、何事にも割と納得の行く答えがちゃんと出せるというのは気持ちが落ち着く。

 最近、ずっと続けている筋トレの効果だと思う現象に気づく。
体つきは別に変わって来ないのだけど、足のトレーニングをやっていて全然疲れない。それだけでなくてリズム感が鋭くなって来ている気がする。
筋肉が強いともたつきが少しもなくなって無駄なく瞬時に思い通りの動きができるのかも知れない。
体力的にもしかしたら最高だと言われている10代にはこんな事はなかった。

もっとも、私は普通の元気いっぱいの少女ではなかったから、参考にはならないかも知れない。
気持ちは元気だったけれど頑強な健康に恵まれていなかったので、血圧低く、いつもふらふらしていたような少女だったのだ。ちょっと無理をするとすぐに風邪をこじらせたりして情けなく、スポーツ根性物に出て来る少女達とあまりに違う自分に結構落胆する事が多かった。

人の個性というのは身体的な特徴も含めて、決して定石通りではないという事だ。最高の体力時に技術の消化が重なれば、後は自然な下降線が描けるかもしれないけれど、その逆というのも有り得るみたいだ。
 人並み以下の血圧や未熟が重なって最高時がなく、ずっと後に健康な体と技術の一応の達成があり、晩成型のグラフができるというのも有りだ。

 この頃はまるで初心者のように踊る事が楽しく、力がみなぎって来る。嫌で仕方ない基礎訓練も真面目にやろうかな、と思ったりするくらいだ。誰もが大切と認める基本は、誰もやりたくなくて当たり前なのだ。
私なんて自慢じゃないが30年くらい毎日飽きずに、これをずるける方法はないかな、と思っている。例えば今朝も目覚めるなりそう思った。
そうは問屋が卸さないから、これからノンストップでまずは二時間です。
と言うわけで、皆さんもよい一日をお過ごし下さい。

●2002年10月09日(水)

国立、王立のBASURA


 この国は電気、電話、郵便という国家規模の機構が全然正しくそうあるべき形で機能しない。
例えばうちの水道料がもう、今年の一月から先月まで間違いで何十万という途方もない金額で自動引き落としになっている。
お客様コールなんて親切そうな電話番号が引き落とした後の証書に書いてあるところは先進国並なのに、ここに電話すると次回の検針の12月5日に電話しないと何もしてあげれないと言う。まだ10月だ。
夏にも確か似た事を言われたのだ。水道局の検針日なんか覚えてられるか!!本局に行ってかけあってくださいとお客様コールは言う。
勿論、私は行かない。朝を全部無駄にしてもきっと次回検針日に....と言われそうだと分っているからだ。

これに似た事は枚挙にいとまがない。そのうち対決しないといけないけどもう、持ってけ泥棒、という気分で暮している。
創造的な仕事に没頭している時は、水道なんかの事を思っていられない。

お金で済む事なら我慢し続けてお終いだけど、時間を無駄にされるのは我慢し続けるのが私には困難だ。
何年住んでもスペイン人のように達観できない。

 国立大学のいい加減さは書いても人が信じないだろうと思っている。
だから書かない。
王立舞踊学校は、昨日の事件で夜の眠りも妨げられるくらいだからちょっと書く。本当は校長に抗議文を書こうか、教授当てで速達を出そうか迷っていたのだけれど全部無駄だと結論したところだ。
みんな同じ穴のむじななのだ。国家公務員だ。

 9月も末になってやっと始まった新学期の舞踊学校だが、新入生の中に私の8才の娘がいる。始まって2回目の授業で、毎回2時間のレッスンは半分の一時間だけだと通達されて来た。先生が骨折して休講だと言う。
代わりの教師を立てない。休講は先生が完治するまで続きそうな気配だ。

 残るたったの一時間しかないクラシックバレエの教授はこの学校きっての名舞踊家で、私は一目も二目も置いている。なのにいつも時間に遅れて来るのだと娘が言っていた。まあまあ....あまり本気にしないでなだめておく。
 だが、ついに昨日は丸々一時間遅れて来たと言うのだ。
二時間のレッスンの半分が休講で残りの一時間が遅刻で丸つぶれって、心臓がどきどきするくらいに怒りが収まらない。
子供達はきちんと髪を結い、白のレオタード姿で待ち続けていたのだ。

 子供の稽古事が続くかどうかは親がどこまで自分の時間を調整し、犠牲を顧みないか、にかかっている。私は連れて行くところまではなんとかするけれど迎えには行けない。
本当は、たったの連れて行くところまででもとても苦痛だ。
仕事を持っているのだからこの先もどうやって工面しようか、人を頼むしかないかな、と心を煩わせている。
なのにこんないい加減な真似をされる。
この先10年もある。
年内どころか今月いっぱいでも忍耐できるかどうか疑わしい。
こんな犠牲を払って学校にやって、私の専門は舞踊なのだ。
あまりのばかばかしさに胸が悪くなってしまう。

王立舞踊学校のカリキュラムは専門の見地から見て私は既に気に入らないのだ。そこへ窓口を始め、何もかもルーズで唖然としてしまう。
この先10年なんて悪夢のようだ。一年も私の忍耐がもつとは思えない。

根性の曲がった教師に当たると、優秀過ぎる子に辛く当たって試験で落とすような事は沢山起こると聞いている。それで別の都市に越境してそこの舞踊学校で受験する子が結構多い。一度にらまれたらお終いだからだ。

....前途多難です。続かない方に賭けてもいい。
 

●2002年10月08日(火)

 フラメンコ月間で思う事

 ビエナル関連で色々ご招待戴いていた中で、これだけは絶対に行こうと思っていたのに国際会議場での祭典があった。
行こう、行こうと思いつつ、ついに切符を二枚無駄にしてしまった。

最終日の日曜は暇が作れないわけではなかったけれど、人にひっきりなしに挨拶しないといけなくなると思うと、憂鬱が先だって腰が上がらなかった。
元パセオ編集長の西脇女史からも、はしゃいだ華やかな声で「どぉうして、何にも出て来ないのぉ?」とお電話がかかった。女史はこういうのに来たのは初めてだから嬉しくて仕方ないという事だった。

なんだか私にもそういう思い出があったように記憶しているけれどはるか昔の第1回ビエナルの時だ。

この時は裏幕の全部を見てしまって仕組まれたコンクールだったからとても興奮した。一番をマリオ・マジャに上げる事に決まっていたのだ。

これと競う、あのマッハのコンパスの踊り手、ホアン・ラミレスは親友で、私の家に泊まりつづけていたので
どうしても見に行きたくてタブラオの一年契約をたったこの三日間のために棒に振った。
マノーロ・マリンが私を見るなり呆れて「アーティストが仕事もしないで他の人の舞台を見に来るとは何事か」、と劇場で私を懲らしめた。
殊勝に下を向いて、ちょっと顔を赤らめながら、へえーーー!叱られちゃうんだ!と恐れ入ったものだ。

でもあの舞台は見ておいて良かった。
(ほらね、生徒ってこのように生意気)
策謀渦巻く舞台裏と表の白熱をみんな見た。
表にも裏にも出入りしてしっかりこの目に収めたのだ。
あれ以来、とてもこれを越えるエキサイティングな催しには出会っていない。

 今、OFSでは新しい企画に入っていて私も少し興奮気味だ。
何一つ喋っちゃいけないって口止めされているので残念だけれど、素晴らしい録音がもうすぐ開始される。

それにしても、OFSのソロ・コンパスシリーズが出るたびに海賊版が出まわる。マメな事だ。名前も紛らわしいのを良く考えつく。
「ドゥエンデ・コンパス」とか....笑ってしまうのだ。
でも、お宅のだと思って買ったのに全然違った、「なにコンパスでしたっけ?」という問い合わせが海外から来るらしい。

先頃、うちのシリーズ全部を一枚残らず質を落としてぱくった会社が出て、スペインの業界誌が見開きにしてソロコンパスを逐一コピーした会社として皮肉を込めて糾弾していた。
クリスティーナ・オヨス監修とか言うやつだ。クリスティーナなんか名前を貸しただけで何もしていない。

 真似されるようになったら一つのレベルと実績を打ち立てた、というべきなのかな。日本人はコピー機だって言われる中、奮闘したって言うことなのかしら。しかしねぇ、臆面もなくって、驚きます。日本人にはここまで破廉恥はやれないんじゃないかな。

●2002年10月03日(木)

レッスンの合間にちょっと...


 パリの空港ではぐれた偉大なる歌い手、へスース・エレディアはそんな苦労がまるでなかったように元気いっぱいで活躍中らしい。

 昨日、どこかの会合でー医師会?だったような気がするけれど聞き違いかもしれないーで偉大なるギタリストのペリーコとカンテを披露しないといけなかった。なんでも日本から大勢ツーリストが招かれて?いるので一緒に来て欲しいとタダをこねるから、私の夫が仕方なく同行したらしい。

そうしたらフラメンコ評論家の浜田滋郎氏がいらしていたと言うのだ。
OFSから発売のアントロヒア・デ・フラメンコをペリーコが浜田さんに差し上げたと言う事だった。
その他同行の日本人というのは、何かのビエナル・ツアーだったのかしら?

 私はこれから夜までレッスンなので何となく慌ててこれをアップしてしまう。日に3回も4回もまだかなーと言う人がいると言われるとなんだか悪くって。
 今朝はアカデミー寄宿舎のスタジオ工事デザインに参加して来た。
床の木材を決めないといけなかった。
鏡の位置とか高さとか、そういう専門的な事のあれこれは私が直接図面に頭を寄せて設計家と相談しないといけない。

 劇場の床を専門に手がけている大工さんで、何だかとても頼り甲斐があった。助手をしている人達はアマチュア・オーケストラでトランペット奏者だったりする。
音響と防音についての話も弾んだ。
スペインのいい所は、こうやって何かを依頼すると必ずと言っていいくらいにその工事人がアートに関係していて、楽器の一つや二つは弾いている人に当たる事だ。
床の木材は天然の樫の木にしましょう!と言われた。
ほとんど望みうる最高の木材だ。
それの一番分厚いのにしましょうと言う。
枕木もちゃんと本物の木材を細かく渡して下地を作ると言う。
これはちゃんとした仕事だな、と感心する。
職人気質でものすごく丁寧なおじ様とお見受けしたから嬉しいのだけど、
なんだか予算が怖い....
来週までに計算して、見本の木材も持参してくれると言う。
目の玉が飛び出なければいいのだけど、と案ずるのみ。



●2002年10月02日(水)

あっちも「帰国」、こっちも「帰国」


 バケーションがもぞもぞと明けて来て、長期休暇の誰彼が日常に戻って来た。
ジムにも昨日は懐かしいクリスティーナが自転車をこいでいた。
私のエッセイに何度か登場しているマラソンの選手だ。
これが、そうと分っていてもとても信じられないくらいの細面の美貌なので
いつも選手だというのがピンと来ない。

相当の美人だという上に、そこはかとない優雅な女らしさに溢れていて甘くて優しい雰囲気に包まれた人なのだ。
どうやってこれで持久系のすごい根性を出すのかな、と何年見かけていても想像が難しい。近々また競技会があるらしいのだ。

スポーツをやる女性がみんな見かけからしていかにも、でなくてもいいのだけど、この女性だけはあんまり華奢な甘い雰囲気に満ち満ちているのでどうしても不思議なのだ。
年も幾つなのか少しも分らない。
未婚の若い女性だと漠然と考えていたら、二人の息子は大学と高校だと聞いてたまげてしまった。
スペイン女性でこんなに若く見える人って珍しい!

 クリスティーナの1ヶ月に及ぶ海辺でのトレーニング・プログラムを聞いたりして楽しかった。私は海では「鍛える」くらいになんかとても泳げない。
プールでも出来ないのだから当然過ぎる。
従って1ヶ月なんてとても我慢できそうにない。
鏡とバー、床のない場所には二日以上はいたくない。

夏の帰国での私の収穫は?と話が及び、かいつまんで筋トレの話しを聞かせたらとても喜んでいた。
クラブのトレーナーのエンリケに文句言ってあげなさいよ、と笑っていたけれどあの頑固者が果たして喜んで耳を傾けるかな?と疑問だ。

先日、プールで子供達に教練中の彼に
「会員はどのレーンから泳いでいいの?」と聞いてみた。
すると落雷のような声で
「そこから4レーンだよ。でも一人で泳ぎたい?そーら、ここを空けてあげよう!はい!!君の専用レーンはここ!」
子供をどかして作ってくれてしまうのだ。
大笑いしてしまった。
これは何て言うか彼なりの私へのウエルカムなのだ、きっと。
父兄に知れたら、とかクラブの規則とか考えない。
どーーーん!と私のために丸々魔法で出して見せたりする。

私がスペイン人の朗らかさに呆れながらも愛してしまうのはこういう時だ。
仮に子供の父兄が見ていたって誰も苦情を言ったりしないだろうな、というのはこういう土地だからだ。
現にそういうやり取りを耳にしながら通りぬけて行くクラブ会員がいたけれど、その人はあちらに二人か三人で泳がないといけなくてもあはは、と笑って行く。
フラメンコの精神て、こういう所にもある。
几帳面な日本人にアイレが出しにくいとしたらこういうお茶目がないからなのだ。太っ腹でお茶目。
ブレリアなんかはこういう意気込みで決めないとね。

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