●2003年02月27日（木）

フラメンコの練習と床の関係

　この質問は良く来る。
どういう床がいいかというと、クッション構造になっていて直接コンクリートなどが背骨にひびかない作りになっていることが望ましい。
そうでないところで必然的にやらないといけない場合は、こっちの靴を工夫して危険を避けるまでだ。
いつでもバカの一つ覚えみたいにフラメンコシューズを履きつづけているのは思考が硬直過ぎる。いろんな物を工夫して履くべきだ。

　音質の追求がテーマの場合、ほとんどどんなに工夫してどんなに神経質になっても舞台で満足の行く床を作り上げることは不可能に近い。
仮にそれを得たとしても音響が違う匙加減をすると、水泡に帰してしまう。
つまり、自分の思惑はまず外れるだろう、という哲学を持っていた方がストレスがない。
そうでないと舞台を終わるたびに舞台監督をののしり、音響技師に飛びかかり、照明係りを虐殺しないといられなくなる。

で、ヒステリーか、悪くすると殺人鬼になる危険を取り除いて、普段から修行するには、どんな条件でも動じない自分に仕上げるに越したことはないのだ。
間違って素晴らしい条件で舞台に立った場合は、おつりが来る、という発想だ。
　舞台で自分の足音がメリハリがないと、死んでしまいたい気分になる。
バカ力でこれでもか、とやると一曲が終わる前にスタミナが続かなくなる。
だからどんなに小さな音でもそれが丁寧で透き通ってはっきりしているような濁りのない音質を出せるようにしておくのが、全ての点で幸福の元だ。

音が汚いままで平気な人はブラソが汚くて平気だし、足運びが汚くても無頓着で、つまり非情に下手でも平気な人なのだ。
そのくらいに大味で、神経が粗く、感受性が鈍い。

だからここで原点に戻り、自分の稽古法を見直して根本的なプログラムをしないといけない。何もかもきちんとさせる、そういうきちんときれいな土台に魂の爆発を起こすからこそ、人が感動するし、自己実現が可能になる。

　音は出にくい床で根気良く、どんな小さな音もきちんと聞き分ける精巧な耳も養いつつ、訓練する。何をやってもすぐに良い音にたやすく聞こえてしまう魔法の床だけはダメだ。
声楽をやる人はピアニシモでもちゃんと通る声を養う。全ての楽器でピアニシモをおろそかにするプロはいない。こういう対極のコントロールに目覚めて始めて強いアクセントが適所に出せるようになる。

画家がすぐれたデッサン力なしに大家になれないように、踊り手もこういう全ての芸術に共通の原理が分かっていないと失敗する。

フラメンコだからと言って難しい事はないのだ。
何もかも原点は同じなのだから。それは驚くほど常識的なのだ。
迷うことがあったら必ず全ての芸術の原点に思いを馳せてみる。
すると糸は案外簡単に解ける。

●2003年02月22日（土）

雨の偵察隊

　今日は休む間もなくカディスで開催されるアンダルシア選手権の偵察に行く。
これは水泳の方だ。
スペイン国内の最高の猛者、オリンピック選手達が出る競技会だ。私の長女はこれに出る筈だったが風邪をこじらせていて棄権となった。病気でちょうど暇なので、宿敵の技を研究に行くらしい。転んでもただで起きない。

都合のいいことに、選手権を戦っているプールの下は、アンダルシアでも強くて有名な新体操のカディス県のチームが土日も練習しているのだ。
私と下の子はこっちの偵察に行く。

このカディスのチームはロシア人の世界チャンピォンをコーチに雇い入れている。このロシア女性の氷のように冷たい厳しさは、体育館の裾の方で顔をのぞかせただけで伝わってくるくらいだ。ロシア人とも、元世界チャンピォンとも知らない時ですら、ただ者でないと４０メートルのこっちから分かったくらいだった。
新体操と言う厳しい世界で、オリンピックを戦って来た選手の気迫とはこんなか！と打たれる。私はこの人のコーチングを見るのは恐ろしくもあり、何か胸に響く強烈なものがある。で、今日は会いに行く。見に行く。どういう振り付けをするかじっと見て来る。
氷の裂け目に少し明るい光が射すようなことがあれば、近寄って挨拶しようかな、とは一応思っているけれど、この人は人との接触が嫌いそうだ。

　あと1時間でカディスに向かって旅立つけれど、午後からはヘレスに行ってフラメンコの方の打ち合わせもしてくる。

日本から帰ってすぐに激しいレッスンに戻って、なんだかウソみたいに疲れているけれど、土曜だと言うのに今日はうっとおしい雨が降っていて出かけないときっと家で一人ぼっちでだらだらしてしまう。

私が同行しようがしまいが二人の水泳と新体操の選手の偵察隊はカディスに行ってしまうのだ。
家族でだらっとしていて暇なのは私しかいないという汚名も着てしまう。
だったらついでに仕事もしてこれるし、おいしい魚介類で有名な海の街（アレグリアスで有名な県ですよ）に行った方がお得だ。

内心めんどくさくもあり、呆れる気がするけれど、クラランスの生徒肝いりのお勧め化粧品でお肌を整えて出陣するかな．．．．

●2003年02月21日（金）

再びセビージャから

今回の集中レッスンでは、私の筋トレのページにアクセスして興味を持ち、ついに集中に参加するに到りました、という不思議なルートの方があった。
ボデｲビルデイングが専門なのだそうだ。

こんな方面から来ていただいたのは始めてなのでとても驚いてしまった。
筋肉やダイエット関係はバレエサイトに出しているので、あちらからフラメンコに来てくださった事になる。
そういえば、この間スペインで知り合った新体操のコーチは、私のフラメンコサイトには良く来てらしたと言うのだから驚いてしまった。
自己紹介をすると私の名前をご存知だったのでびっくりしたというわけだ。
うーむ、こうなると本当に誰が見ているかわからないものだ。怖いわ〜
ＢＢＳで名乗ってくれる人はほんの僅かなのだから．．．．

さっきバレエのトップを見に行ってみると、9月から立ち上げてたったの5ヶ月なのにもう二万五千アクセスを超えてしまっている。
ものすごい勢いだ。
最近記事をアップしていないのだけど、また食事についてなど出したいと思っている。
あーーー、やりたい事が沢山あるのだけど体が一つで間に合わない〜！

岩崎トレーナーからは今回、１．５キロもあるものすごいストレングスコーチの筋トレのバイブルをいただいてしまった。読み応えがありそうだ。
だんだん専門家に近づいて行きそうで、本当に人生って楽しい。
何があるか分からない。
最近の私は全然疲れないのだ。振りの切れが益々シャープで何時間でも踊っていたりする。どうしてもこれはトレーニングのお陰としか言いようがない。
昔はこんなじゃなかったのだから。
今日は腹筋だけでも７００回もやってしまった。最近、これでも辛くないので利かないみたいだ。もう大石を抱いて心中のようになってしないと効果がないかもしれない。

プリセツカヤが凄いと言ったら岩崎トレーナーからあなただって十分驚異ですが、と言われてしまった。
嬉しい！！もっと誉めてもらえるように頑張らないと！
鷺沼スタジオにベンチプレスとか、あの拷問道具ひとそろえ、備え付けようかと考えてカタログをめくっているところだ。最近は私があんまりこの手の話題を出すので、代教までジム通いしたがる。隅に置いておけば誰でも逞しくなれて喜ばれるかも知れない。如何？

今度帰国したらトレーナーズの早朝勉強会にも参加しようと思っている。

でもその前にフラメンコビデオの撮影がある。私の企画をＯＦＳのプロデューサーに相談するとあちらも偶然まったく同じ物を作る予定だと言う。同じ題材で敵味方に分かれてしまった。
別の会社、別のプロデューサー、別のクルーを紹介すると言われた。
どっちが優れた作品になるか勝負じゃ！やれやれ．．．．．

●2003年02月02日（日）

実践と継続

筋トレが全然できない。
時間がタイトでスポーツクラブに行く暇がない。入り口近くにパーキングしていてさえここに入って行けなかったりする。

やらなくなると私のような者でさえ次が億劫になる。
怠けるということは、かくも努力なしにすぐできてしまう。

　新しい家には普通のリビングというのを完全に廃止してしまおうといよいよ決心を堅くした。家族が全員スポーツに深く関わっているので、リビングはマシンジムのようにしようと思う。ソファとか置かない。ベンチプレスなんかをどかどか置こうと思う。肋木っていうのだったかな、あの体育館によくあるぶら下がるヤツとか。
人が来るとさぞ驚くことだろう。どうぞどうぞ、お楽に。そこら辺にぶら下がっては？レクチャーしましょうか？なんて．．．．あはは。

　さて、新居のメインインテリアが決まったところで気持ちも晴れ晴れとこれで寸暇を惜しみつつ、家族団欒も色々やりながらできるという光明が見えてきた。
　余談だけれど最近本当に売り込みが多い。
ＯＦＳはレコード会社だからアーティストの売り込みは毎日のようにあるが、私の所にも今度是非、というお話しがスペイン国内だけでなく、ベルギーやフランスなどからも来る。メールでも来るけれど芸歴も郵送されて来る。
アーティストもだけれどうちのスクールに雇って欲しいというのもいっぱい来る。なかなか輝かしい芸歴わ持つ教師もいっぱいいる。
雇ったって構わない。本当に是非日本に送り込みたいくらいだけれど日本ではスペイン語がちゃんとできるのが一人もいない。英語だって怪しい。
こう言うとすぐにどこかの語学学校に入会しようという能の無い子もうちは実に多い。ＮＨＫだって。ダテにやってない、あの講座は。
あれ、まともにやると本当にちゃんとするって口をすっぱくしているのに誰も本気でやらない。
　そうやって何も地味な努力、最小のことを継続する気のない人は何にもなれないでただ一生を終わるだけなのだ。
なぁんて．．．辛口で今日は終わってみる？
さ！着替えて筋トレ行って来よう！無駄な一生にしないためにね。