フラメンコ・オーレ フラメンコファンと練習生を一挙にスペインへ!
音楽・踊り・歌の本格サイト〜友繁晶子がスペインから応援

フラメンコ・オーレ!/スペイン発のフラメンコ情報サイトフラメンコ・アカデミー/友繁晶子の本格フラメンコスクールフラメンコについての質問/スペインについての質問/ご意見・ご感想スペイン語/***セビリア発信・つれづれ草スペイン発

フラメンコ・オーレ!

フラメンコって何?アンダルシアって?セビリア・セビージャ?スペイン地理・歴史専門書
友繁晶子大人になってからの舞踊子供から始めるフラメンコ・スパニッシュ・クラシックバレエ
何年やっても上手にならない!あなたへバレエのページ 速報・集中レッスンスペイン留学レポートスペイン研修旅行レポート2004フラメンコ・全パス/朝晩全てに出られるコースUP!
友繁晶子・公演のお知らせ


2005年11月のセビリア発信・つれづれ草
[HOMEに戻る] [過去のセビリア発信・つれづれ草一覧] [管理者モード]
●2005年11月27日(日)

全然取れないフラメンコ

よく掲示板で振りが取れないのですぅ、という質問があって
しかつめらしく答えていたと思うのだけれど、
今をときめく男性フラメンコのクラスに出たりすると、私がこれになる。
回答者ではなくて悩む方。

膝に悪い、腰に悪い、足が太くなる、というテクニックは全部避けてきた。
その「総悪いシリーズ」の連発なのだ。

コンパスは限りなく複雑で、
これをしていると上体が何もできなかったり
そんなところでスカートを離してやれない腕などが続出している。

こういう所でことごとく考えるから取れない。

何とか取ったとしよう、でも、私はこれのどれも踊らないと思う。

一体、これはどういうことなのかな、と少なからず考える。
煩悶する。

昨日、ホセ・ガルバンにたずねてみた。
すると...

「僕はうちの子供達のクラスに出ると一つも取れないよ」、と渋い顔して答えた。

昔、パストーラが「うちのパパは何にも取れないのよ」、という可笑しい台詞の裏書ができた。

小躍りしたいくらいに嬉しくなる。

「でも、ホセ、どこに行っても日本人が過半数で
みんなそれは良く取っているの。本当に驚いてしまうわ。
どうしてあんなにすんなり取れる?
なんで私とかあなたは駄目?」

−少なからず劣等感を感じてしまうのだー

「簡単だよ。あの人達はあれが最初で僕らみたいにフラメンコ・プーロやってないから。真っ白の頭の中にあれだけが疑いなくある。あれだけがフラメンコだから目の前の皿を食べる」
ああ、そうか...

「それに日本人にはあれのがきっと簡単だよ。」

意外!!
「簡単???まさか」
「いや、簡単。足だけに追われて上体とか曲線を描く暇も要求もされない。日本人は棒状に立った形しかできにくいから、あれだとそれで済む」

なるほどーーー、私は曲線の人だから、入らないところに入れようとしてことごとく遅れるのね!

ホセ、とにかく何年かはやってみようと思ってるの。
でもね、歌が始まって、ギターが鳴ると、私はあれらの一つもできないと思う。自分の中のフラメンコに対する感情が
ああいう振り付けには伴わないのよ。

フラメンコが始まると、すっと出で来るのは
自分の心の中に沁み込んでいる
いつもの自分の生きた時代とアーティストの香りのフラメンコなのだ。

なんだか随分遠回りをしたけれど、
これは真実の芸なのだと実感している。

夕べ、自分のソレアにアンドレス・ペーニャに振付けられた
何か一つでも入れてみようと二時間も苦戦したけれど、
結局ただの一コンパスも入れられなかった。

それがやりたい感じに気持ちが高まらないのだ。
来月はもう、こういうのはやめないと。
自分の糸でちゃんと全部紡ぐのだ。

勉強は一月の公演後まで中断。

●2005年11月25日(金)

ぺテネーラの衣装生地がついにスペイン国内で見つからなくて
外国に発注。
ただの何でもないシルクジョーゼットなのに無い。

探し物って、探していない時はいくらでもあらゆるところで見かけるのに、いざとなるとどこにも売っていなかったりする。
見かけた時に油断しないでどんどん買っておくことだ。
あとでとんでもない思いをする。

これから稽古で昼に休みも無く仮縫いに飛んで行く。

新体操娘は夜になると足を揉んでほしいと遠慮しながら言う。
揉んで欲しいのはこっちなんだけど、私は膝で着地していないのではい、はい、とまめまめと嬢ちゃまを慰労する。

朝、全員疲れが取れていない顔で互いに憐憫の笑みを投げかける。

公演のための練習で疲れているわけではないのだ。

公演で踊らない曲なんかをまだ練習していて疲れる。
ちょっと始めたゲームが
手が離せなくなってしまったみたいに。

自分が踊る予定のない種類のフラメンコの勉強を始めて一ヶ月になる。
もう、全曲足ばかりというような。

翌日足がじんじん疲れていて、
おーーー体に悪い!と思う種類のだ。

これを20代からずっとやるのは勧めない。

もう35過ぎていたらやってもいいかもしれない。

体が衰え始める頃からスパートかける感じで奨励できる。
ただ、うまく操縦できないと体を傷める。
このコツが分かる人ならやっていいと思う。

全然好きな種類のではないのだけれど、石の上にも三年と決めたから三年はやろうと思う。
もうゆとりの三年だから五年でもやれる。

うんと若い頃には時間にも体力にもゆとりがなくて
なんにも出来なかったけれど、
今は自分の芸が一通り確立しているから
これを棚に乗せておいて、全然違うものをやるのはいいことだなと思える。

今やっているマルティネーテは、男性が至る所で見せ場を作る男の踊りだけれど、最初はスタジオにひしめいていた25人くらいの上級生徒達が、曲半ばで半分以下に脱落。

夕べは五人くらいしか残ってなかった。

私はこれは絶対に踊らないけれどー出だしで酸欠になるくらいに足をやるー至る所に使えるヒントが見え隠れする。

先生はこの大脱落の不人気を少し辛そうにしている。
私は少なからず同情している。
でも何しろ、難しい足の連続なのだ。
三拍くらいの所に金と銀のアラベスクがひしめいているって感じだ。私だったらちょっとした体のひねりでやめてしまうようなところで
死にたいというくらいの細かい犬死足を連発する。
一泊のために四日の稽古が必要みたいな。

なんで?笑ってしまうのだ。
でも、頭は鍛えられるから結構薬になる。
公演が終わったらもっと真面目に取り組もうと思っている。

なぁに、趣味と実益を兼ねてってね。その割には額に青筋なんか立ってますが(笑)

●2005年11月24日(木)

夢の中で振り付けを考えている。
もう駄目だ。他の事が何も出来ない
朝の六時にしっかり目を開けてしまう。

下の娘があと数日でスペイン選手権なのに
観戦、帯同するかと聞かれると眉が曇る。
パンプローナというスペイン北部
そんな所までとても行かれない。

六、七曲も振付けないといけないのに
もう何をする暇もない。
人の試合なんかには行けない。
ゴメンね、と言うと
いいよ、いいよ、気にしないでねと
言ってくれる。

小さい時から駄々をこねるということが二人ともなかったけれど
朝起きるとお湯が沸いていて
ホットケーキが出来ていたりする。
夜はうちはみんな試合に向けての激しい訓練で討ち死にのようになって休むのに。
こういうのも子育てと言うのだろうか
子供が私の面倒を見てくれているのに?

昨日ペドロと歌い手達と音楽会議。
プログラムの手直しをする。

ペドロは外国公演に出るとかえって暇になるという。
スペインにいる間は仕事に追い掛け回されて何にも落ち着いて
作曲できないらしい。
私のための曲は国外に出てから一生懸命作曲して
メールにつけて送ってくれるなんて言う。

それまでは銘銘自分のパートを練りに練って備える。

いざ全員揃うとすさまじい勢いの稽古になる。
とにかくプロの稽古はこれだという、一回で踊り込みが終わってしまう凄さだ。

その道で一流のアーティストだけが揃うと
練習、なんてものはしない。

はなから本番の舞台のような激しさなのだ。あっという間に出来てしまう。
突然、思いもかけない要求をされるから
翌日までに必死でクリアーしないといけない。
なんと言ってもこれが背水の陣で辛く苦しい。

9で終わるブレリアなんかが出たりするのだ。
3でも6でも10でもなく。
ちらっと出た会話を小耳にしっかり入れて、私は9のブレリアを予習しておく。

歌い手はとびきりの凄腕というか、凄喉というか
凄コンパスの二人が確保できた。

Aプログラムはペドロとミゲルのかっこいいギターとこの二人のものすごいパルマとしびれる様なフラメンコボイス。
これぞフラメンコ、フラメンコっていうプログラムだ
さぁ、頑張ろう!

●2005年11月18日(金)

一月の公演出演者発表

音楽プロデューサー&第一ギタリスト ペドロ・シェラ
第二ギタリスト ミゲル・アラゴン

カンタオール ホセ・アンヘル・カルモーナ

男性舞踊手 フランシスコ・ヌニェス

.........
まだあと二人確定していません
それは歌い手ともう一人の男性舞踊手です

なんで決まらないか。
ここが舞台裏の可笑しいところです。
バラす?はい、
ここがうちのサイトの楽しい、勉強になるところだからです。

候補が多くて決まらないのです。

なんと日本で今仕事中というアーティストからまで
国際電話がかかって
売り込みが来ます。

今は三人がバッティングしている状態です。

昨日面接した人が返事待ちになっていて、
(実は、一目見るなり好きではなかったので、返答に困った。)相手は名のある人で、紹介された人も著名だから窮した。でも、向こうから手を振られた時は、うへーと思った。

それを知らないペドロがもう一人に話しを持って行ってしまった
あら、どうしよう、という所にジャーン!と行方不明の最初の踊り手からメールが来た。

何と私が最初に契約を取り付けた踊り手が、オランダ公演中で
電話が途切れてしまいました。
向こうはツアー公演していてつかまらない。
電話は携帯だからなんだか繋がらない日がある。
メールは出来にくい。
三日待って連絡つかなかったら別を考えようと決断して動いた途端にメールが来る。

ここが思案のしどころです。
話の筋としては、ペドロが取り付けた人を使わないといけない。
この人、私は個人的には仕事したことないのですが、評判はすこぶるいいです。素晴らしい踊り手だと皆が言います。
フェロモン系だと言います(なんかびしっと決まった時に男らしいぞくっとする色気があるんだと女性ファンが言います 笑)
楽しみではあります。

ああ、でもさまよえるオランダ公演の君は捨てがたい!!
惜しい!!
物凄く上手いらしいです。

でもペドロの推薦ほどには身近でないので賭けのようです。

だいたい本当に12月5日に帰ってきて稽古に入れるか保障がない。
じゃ、なんで組みたいのかというと、何となくカンで。

そんなもので大切な公演の共演を決めていいのかというと、いいのです。
ロケット打ち上げ計算ではなくて、良い公演の打ち上げ計算の場合は、アーティストのカンで行きます。
数式ではないです。
感触です。

でも一歩間違えると死ぬ思いをします。

来週チラシが上がってきますが
もう一人の共演者だけは最後まで競り合いになる予定です。

ここが私の公演の築地の魚河岸的鮮度の特徴です。
好きでこうしているわけではありませんが、いいアーティストほど近所で暇にしていないのでみんな外国にいて連絡が大変です。
でも最後には始めに候補で出したアーティストを上回る人を出すので、観客の皆さんもフラメンコ的にはらはらどきどきしながら
楽しみにしていてください。

さてと、シギリージャの稽古です。
出だしがあんまり激しくて昨日、酸欠になり、目の前が暗くなってこりゃ駄目だと思った振り付けというか足をこれから改良します。出た途端に気絶するほどやらなくてもいいものね、あはは。

●2005年11月11日(金)

昨日はペドロ・シェラに会ってプログラムの進行と演目を決めた。あっという間に決まる。
鼻歌で相談がまとまる。
3の3の9で〆るんだよ、
うん、いいかもね
こんな会話でどんどん進む。

ああ、プロ同士って嬉しい!
幸せに気分が高揚した。

風邪で熱があったなんて嘘のようにぴんぴんして帰宅した。
俄然、やる気になる。

ペドロとこんな話もした。

ねぇ、ペドロ、去年パーカッションの子が
「練習無しの生粋フラメンコ」って私のアレグリアスを評したのだけど、ああいうの、もう踊る人がいないのね?

「いないよ、全然。ぺバ・モンテスがたまに...かな」

あの時はよく意味が分からなかったのだけど、つまりああいうアレグリアスはもう誰も踊っていないということが今年分かった。

前の世代の継承者たちが死に絶えたか、もう引退したか、最近の男の踊りを女も魅せられてやるようになってから、それ一色になってしまっている。

ねぇ、ペドロ、あなたはこういうあらゆるところでフアルセータや歌をぶった切りにするモダンなパーカッションフラメンコ、どう思う?ああいうのって一緒にやっていていらいらしない?

ペドロは全然好きじゃないと言う。行き過ぎは絶対に是正されるから又きっとプーロに戻るよ、て言ってくれた。

嬉しくなってしまった。

先日、ロスガジョスのギタリストにも質問してみたら耐えられないと言っていた。
やっぱり歌い手もギタリストもあれは好きではないらしい。
じゃ、踊り手だけが気に入って暴走しているだけなんだ。

どういうのかしら。
特に女があの美しい上体の動きとか、難しいフアルダとラインの見せ方とか、そういう優美でしゃれたものをみんなプランタとタコンの間に踏み敷いてしまったのだ。

私は二つのフラメンコのハザマでどちらもできる踊り手として泳いでいる自分を感じていたのだけれど、どうも良きフラメンコの伝統の継承者になってしまっているらしい。何故ってこの流儀を実演して見せる人が本当に僅かになってしまったからだ。

カマロンもベニ・デ・カデイスも知らない世代のスペイン人と外人たち。
私はあのアレグリアスの名手、イサベル・ロメーロを見ている。

私がスペインに着いた頃、まだ優美でグラシアに溢れた女踊りをする著名なアーティストが多勢だったのだ。
一方でモデルノが確実に台頭していたが、まだプーロが主流だったし、網膜にみんな焼き付ける暇が十分あった。

知らないうちにああした宝物をみんな受け継いだ。

価値を知らないまま、私はこういうものをいっぱい腕に抱えて過ごしていた。

よおく噛みしめて踊りたいな、と思う。
しっとりとしたドゥエンデの這い登ってくるようなソレア。
ペドロが言ってくれる、ソレアを踊って、僕のムイ・レントのソレアを!アレグリアスを再演してよ、本当にもう踊られないんだよ、ああいうのは!

ソレアとアレグリアス、踊りたいと思う。本当に心から愛してやまないあの二つのムイ・フラメンコのヌメロ。

この二つに始まってこれに終わるフラメンコだ。

http://www.flamencoole.com/

フラメンコ・オーレ!〜スペイン発フラメンコ情報サイト〜 メール


WebDiary CGI-LAND