スペイン発不定期便〜友繁晶子フラメンコ・バレエ・アカデミー
スペイン発不定期便
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― 第42回 どうせ日本人だからって気持ち... ―
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私は子供の頃からこう思った事が1度もない。
ああ、日本に生まれてしまったのにこんな劣悪な環境でろくな教師にも恵まれないでいたら絶対にちゃんとした踊り手にはなれない!...という激しい、切ない、胸苦しい思いで小学生時代を過ごした。
あの理屈は子供ながらに正鵠を射ていた。
子供だからちゃんと真実がストレートに見えるとも言える。
誰に言われたわけでもなく、楽器店に走り、ベークライトでできているカスタネットを求め、レコード店に走ってサビーカスのSPなんかをとにかく買ってきた。
そしてカスタネットは右は小指からばらばらやるのは知っていたけど、左はリズムだけというのには気づかずに、こっちもばらばら4本指で訓練を始めた。
両手でとにかくばらばらっと、毎日。そのうち誰かが直してくれるから。運指だけは鍛えておかないと手遅れになるって。(ああ、この子を救ってやれたらな、て今の私は思うのですが...タイムマシンは無い)
気がついたところからうんとやっておかないとスペインの少年少女達にどんどん置いていかれてしまうって必死だった。
台所のたたきで柔軟だけは欠かすまいと思って縦横180度というのは必ずやって、その他幼い頭で思いつく限りのブラソの訓練を自分で始めた。これが10才になるかならないかの子供の頃の私の始まりだった。
「日本人だから本気出さないといけない」、これだけがあの頃から今に至るまでの、そしてこれから先にも一筋に続いている私のセオリーだ。
どうせ日本人、ていうのと一見似ていなくもない。
でも、多分全然違うのだ。
江戸後期の日本てどんなでした?
戦後の日本は?
世界の3等国じゃなかったです?
でも何において3等だったか、ですよ。精神において、では決してなかった。
日本人の資質には伝統的に鋭い洞察力と驚くべき克己の精神があるのだと思っている。それを私達は割りとすんなりできる。何かに対する燃えるような憧れ、これこそ遺伝的な要素なのではないかしら。
私は逆に、もしもスペインに生まれていたらきっとフラメンコはやらなかったのではないかと思っている。だから日本に生まれてそんなに悪くはなかった。それに日本人はいつまでも若いからこんなに長持ちしている。
スペイン人だったらとっくにぶよぶよになって病気だって併発しているに違いない頃に、まだ筋トレで向上しているなんて、回りのアーティストを見たって他に見当たらない。....自慢話に聞こえたら私の本意ではありません。
今更自慢なんかしてどうということもない。ここにこういう例がいるから元気出して欲しいな、ていうのがいつも自分を引き合いに出す動機です。
ご参考になれば幸いです、ていう気持ちです。
がんばりましょう?日本人なんだから!!
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